キャスリーン・E・ウッディウィス『川面に揺れる花』を読んだ感想

造船技師ゲイジと彼の使用人で元女囚シメインのロマンス。

 

 

 

垢にまみれ、ぼろきれ同然の服をまとった女囚シメインの正体は、豪商の娘。
何不自由なく暮らしていたシメインですが、あらぬ罪で逮捕され奴隷の身に落ちぶれてしまいました。
 

 

 
冤罪を証明してもらおうにも、彼女の身内は誰もシメインを見つけだすことができない。
絶望の淵で出会ったのは、造船技師ゲイジ。なけなしの金をはたいてシメインを買い上げ、それはそれは大切に扱います。

 

 

 

本作品のアメリカでの刊行は1997年。作者の晩年の作品なのか、雰囲気は全体としてまったりとしており、登場人物の人柄も落ち着いた印象をうける作品です。
ですが、そこはヒストリカルロマンスのファーストレディ。キャスリーン・E・ウッディウィスの作品ですから!!ロマンスでのトキメキ要素は満載ですのでご安心を。

 

 

 

なけなしの金をはたいてもシメインを手に入れたいヒーローの恋心

 

 

 
時代は1947年アメリカのヴァージニア州。
北風がにわかに強まるニューポートニューズに囚人たちを乗せた船が一隻到着。
そこには冤罪で囚われた元女囚シメインがいました。
 

 

 

イギリスからアメリカまでの長い航海で、風呂に入れず、垢にまみれ、着ている服はボロきれ同然。
もう、そりゃ、見るも無残な状態。
航海の途中でも、いろんな人に、イジメたおされます。
まず、彼女の美しさを妬む女囚。と、その愛人。シメインの美しさにフヌケになってしまった船長の妻。
なんだかんだで、シメインに因縁つけて、監禁したり食事を与えなかったりと、ひどいイジメようです。
 

 

 

やっとのことでアメリカについた彼女を待ち受けていたのは、囚人のセリ。
結局、イギリスで罪を犯した囚人を買い上げ、植民地のアメリカに届け売る。そのピンハネ分が船長の懐にはいるといった寸法です。
ところが、この船長。シメインを愛人にしようと目論んでいるので、なんだかんだいって、売りに出しません。
 

 

 

そこで登場するのがバツイチ子持ちの造船技師ゲイジです。妻は事故死、ようやく片言が話せるくらいに大きくなった息子アンドリューをシングルで育てています。
 

 

 

息子の子守をお願いしている女性が、ゲイジにオネツをあげていて、その入れ込み具合は、身の危険を感じる程。
彼女では、おいおい問題がおきるだろう、と、別の子守を探しに奴隷の買付にきたわけです。

 

 

 
あんまり期待してなかったゲイジですが、ところがどっこい。
もう、シメインみつけて一目ぼれですよ。
 

 

 
自分の留守中に大切な息子を預けるのですから、子守とはいえ、読み書きがある程度できてもらわないと、となかなか厳しい条件をもって
奴隷の買付にきたのですが、期待を大きく上回る人が!!(笑)
 

 

 

ここがですね、非常に胸キュンなんですよ。
ゲイジは富豪でも豪商でもなく、この時点では一介の技師なので、はらえるお金には上限があります。
しかも相手は売り渋りの船長ときてます。でも、どうしても、どうしてもシメインを手に入れたいと決めて、財布やこれからの生活がカツカツになること承知で、うまく立ち回って彼女を手に入れる。
 

 

 

下働きなんかしたことないシメインが、慣れない仕事に率先して取り組み、なんとかゲイジに役に立とうと、健気に頑張るのは、この辺りの下りを、シメインもよく承知しているからです。
 

 

 
金の湯水のように使う生活をしていた贅沢に慣れ親しんだシメインですが、地獄のような航海を経て、末は愛人か売春宿に売られるかのところを、救ってくれたゲイジにもう身も心も(あ、労働という意味で)捧げっぱなし!
 

 

 

ないない。ゲイジが殺人者だなんて(笑)

この作品のヒーローとヒロインともに、人間ができてるなーというのが率直な感想。
キャスリーン・E・ウッディウィスの他の作品「シャナ」のヒロインシャナなんて性格、致命的ですよね(笑)
 

 

 

ですので、文庫版の帯に書かれている「あなたの正体は殺人者なの?」は、もう序盤から「ナイナイ」って感じで、そこはミステリアスでもなんでもありません。「冬のバラ」みたいにサスペンスタッチでもないので、ご承知おきを。
 

 

 

ゲイジがシメインと結婚するのも比較的スムーズなのですが、結婚したからといって彼らのアツアツは収まりません。

 

 

 
シメインのドレスからちょっと胸が見えると、目を疑うゲイジの発言。

「うまそうなメロンがふたつ。夜まで待ちきれないぞ」

 

 

 
め、めろんっすか。軽く夫婦間のセクハラ(笑)
 

 

 

終盤、彼女が何故、冤罪になった理由が明らかになってきます。そして彼女の両親、イギリスでのシメインの元婚約者が登場して、二人の結婚生活を大反対。
メロンとかいってる場合じゃなくなってきてますが、それでも、シメインは始終ゲイジと一緒に居られて幸せそう。可愛い彼女の幸せな様子をみてあげてください。