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カーラ・ケリー『拾われた1ペニーの花嫁』を読んだ感想

元海軍提督チャールズと老婦人のコンパニオン サリーのヒストリカルロマンス。

 

雇用主が高齢のため亡くなってしまったサリーは失業中。手元の現金も底をつき、途方にくれていましたが、<ドレイク亭>でなけなしのお金をつぎ込み一杯の紅茶を頼みます。

 

亡くなった夫の口癖。

紅茶を飲みながら考えれば、たいていの問題はなんとかなる

 

人生はそんな単純じゃない、想っていたサリー。ところが、この一杯の紅茶が、彼女を運命の出会いへと導きました。彼女が<ドレイク亭>で出会った運命のお相手は?

 

 

優しさと暖かさ、そして癒されない心の傷に、ほんのちょっと悲しみを覚えるロマンス小説です。

 

あらすじ序盤をまとめました

 

夫は無実の罪を着せられ、自殺。お金はない、コネもない。頼る身内もいない。たった一人の息子は病死。

 

ヒロイン サリーの背負ってる背景ってなかなかの不幸ぶり。それでも生きていかなければいけない。人生ってとっても残酷。。

 

彼女は、なけなしのお金をはたいて<ドレイク亭>で紅茶を飲んで、今後の自分の身ふりかたを試案してるのですが、偶然に居合わせた紳士に見初められます。

 

海軍の元提督チャールズは、<ドレイク亭>に結婚を約束した女性(気の小さい女性なので、あだ名を鼠嬢と呼んでる)と待ち合わせ。といっても、相思相愛のお相手ではありません。行き遅れてしまったオールドミスと便宜結婚するつもりだったのです。

 

チャールズは、ほとんどを海軍で過ごしてきた男性。年の離れた姉二人があれやこれやと彼の世話をやくのにほとほと嫌気がさし、知り合いの妹と便宜結婚することにしました。これで、姉たちの攻撃から逃れられる。

 

ところが、鼠嬢は待ち合わせの<ドレイク亭>に現れない。すっぽかされてしまったのです。

 

チャールズは、いかにも厳めしい顔つきの男性。

髪の毛はふさふさですが、片方の腕がなく、鉤を義手替わりにつかっています。見えるところではありませんが、歯が一本ないらしい(笑)一般的なイケメンヒーローではない、ちょっと渋めの独身45歳。自分で自分のこと「悪くないと思うんだけどな・・・」なんて、思ったりしてます(笑)

 

艦隊を率い、多くの戦歴を重ねた、その風貌と雰囲気に恐れおののき、おそらく鼠嬢は、びびって約束をすっぽかしてしまったのではないかと。

 

 

そんな時<ドレイク亭>で、質素だけれど知的なほっそりした一人の女性を見つけます。

どうやら、彼女はお金困ってるらしいと、チャールズは推測。

 

 

見知らぬ男性から、声をかけるのはどうかな、と思いますが、チャールズは彼女に声をかけ、鼠嬢の代わりに自分と結婚してくれないか、と急すぎるプロポーズしてしまいます。

 

うーん。出来る男は高速の決断。

 

 

登場人物が抱える心の痛みと、ヒーローとヒロインの善意にあふれたロマンス小説<ややネタバレ>

 

と、出だしはロマンチックなのですが、出てくる登場人物が何かしら悲しみを抱えており、なんだかしんみりするシーンが多いです。

 

不遇な少女を引き取り使用人にしたり、差別的な態度をうける隣人を訪問したり、孤独な紳士のお宅を訪問したりと、二人は擬似夫婦ながらも、暖かな交流を深めていくのが、とっても心温まります。

 

かといって、ヒューマンドラマ的色が強いかというとそうでもなく、ちゃんとロマンス色もあるので、ご安心を。

 

サリーは息子と夫が死んだことであきらめた愛情を、チャールズは若かりし頃にできなかった恋愛や結婚生活を、「この人となら・・・」と少しずつ心が寄りそっていくストーリーに胸がキュンとします。

 

  • いい話→しんみり→ロマンス→胸キュン→いい話→しんみり→ロマンス

 

 

私は、せっかちな性格なので、ものすごいスピードでストーリーを追っかけるように読んでしまいますが、この作品はちょっと違います。

 

ちょっとでも長く、この作品を読んでいたい。登場人物の人生の悲しみに触れ、ちょっぴり涙し、チャールズとサリーの優しさに癒されるの繰り返しが、なんとも心地よい。

私は、ちょっとずつ読み進めて、じっくり味わって読みました。

 

 

 

結局、サリーとチャールズは身も心も結ばれ、文句なしなのですが、二人の仲を嫉妬する人間の悪意で、最後仲たがいしてしまいます。

 

でも、この人も・・・わからなくはないのですよね。やり方は卑劣ですが、最後、悪役にも、ちょっと同情。男が男にほれ込むって、特別ですよ。

 

 

華やか~なロマンス小説ではありませんが、読ませる作品。後半サリーに激高し、癇癪を起してしまったチャールズが猛反省する箇所も見どころです。