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ロマンス手帖

ハーレクインロマンスなどの海外のロマンス小説の感想ブログ。あらすじの紹介です。多少のネタバレあり。

シャーロット・フェザーストーン『七夜の契り』を読んだ感想

シャーロット・フェザーストーン『七夜の契り』を読んだ感想

レイバーン侯爵ジェイスと令嬢ブロッサム(画家)のロマンス。

 

 

放蕩者と呼ばれるジェイス。彼には長年片思い中がいるのですが、彼女はすでに「弟の婚約者」。いよいよ二人が結婚する時期が近付いてきたので、ジェイスは傷心のため家にいられません(笑)意外に繊細!

 

 

ハートブレイクな彼が領地を転々としていたところに、なんと婚約破棄の連絡が!!何事かと駆け付けてみると、弟はどうやら別の女と駆け落ちしたらしい。

 

 

これはチャンスとばかりに、ジェイスは張り切るのですが、なかなかうまく行かないことばかり。

 

 

彼の前に立ちはだかる障害は、放蕩者のレッテルだけじゃなかったんです!「宵闇の鳥のささやき」の続編、といえば誰がでてくるかはお分かりですね。

 

 

もし先に読まれてないのなら、「宵闇の鳥のささやき」を先に読むのをおすすめします。

 

『七夜の契り』を読んだ感想(前作のネタバレあり)

 

ジェイスの恋の障害は、マシューパパ。ブロッサムは、「宵闇の鳥のささやき」のヒーロー マシューと、ヒロイン ジェインの娘なんです。

 

もうブラックホール級の心の闇をもってるマシューですから、なかなかジェイスに対しても辛辣です。

 

前作で、マシューとジェインは結婚せず「ラマン」の関係で終了しましたが、こちらの続編ではめでたく結婚後の姿が描かれています。。マシューの父親の公爵様がなくなり、その後、爵位を引き継ぐのと同時に、ジェインと正式に結婚したと推測。(多分)

 

 

もう、それはそれは熱烈な二人の間に生まれた「ブロッサム」ですから!父親のマシューも、母親のジェインも彼女の婿取りには力はいってます。

 

 

ブロッサムの元々の婚約者というのがですね、マシューとジェインと旧知の仲だった夫婦の息子さん。長男のジェイスは、ちょっと評判わるくて、次男の方が芸術家肌のイケメン。

 

 

まぁ、両親としては兄弟の「無難な方」をブロッサムと婚約させたのですが、こいつがですね、別の女性と駆け落ちしちゃうんですよ。しかもブロッサムに「婚約破棄してもいいかな?(いいとも!)」みたいな感じで。

 

 

ブロッサム自身も、熱い恋愛や情熱を体験したいっていう気持ちがあって、どうもこの弟ちゃんには、親愛は感じても情熱はかんじず、ということで、めでたく円満、婚約破棄と相成ります。

 

 

本当は、ブロッサムは、少女時代からジェイスに恋心を抱いていたんですが、彼が「放蕩もの(女たらし)」という評判をきいて、ちょっとビビってます。あー、だまされなくてよかった、ってどこかで思ってますが、婚約破棄した後、気になるのは何故か、ジェイスのことばかり。

 

 

もう、二人は長年、両思い!いいじゃん、くっついちゃえよ(笑)と思うのは、読者だけで、マシューは猛反対です。

 

 

何故なら、自分のことは棚に上げて!「娘の婿には誠実であってほしい」のです。心当たりがあるからこそ、放蕩ものは、許すまじ!御しやすい婿のが好ましい。

 

 

こんな、マシューにジェイスは真っ向勝負を挑みながらも、影でブロッサムとイチャイチャ(笑)

 

 

まぁ、「宵闇の鳥のささやき」が暗かったので、みんな幸せになっていて、本当にいい感じのロマンスでしたよ。

 

 

スーザン・フォックス『黒い羊』を読んだ感想

スーザン・フォックス『黒い羊』を読んだ感想

育ての親だった叔父が亡くなり、葬儀に参列するため、ひっそりと故郷に戻ったウィラ。
交通事故で親友を死なせ、街を逃げるようにでてから5年。

 

 

「厄介者の羊」の烙印と、周囲からの誤解と”人殺し”の汚名。そして、死なせてしまった親友の兄クレイへの淡い恋心。

誤解とすれ違いに耐え忍ぶウィラに涙ホロリの作品です。

 

 

『黒い羊』のあらすじと感想

 

 

舞台はアメリカ の牧場。かつて、親友を事故死させてしまった”汚名”を一身にうけたウィラが、叔父の葬儀に参列したシーンからスタートします。

 

 

ウィラ自身は、遠く離れた土地で馬専門の牧場経営者として生計を立てていました。
あの辛かった出来事を、故郷の街の人たちが許してくれてるのかも、と淡い期待をもちながら、叔父の葬儀に参列しますが、見事に希望は打ち砕かれます。

 

 

そればかりでなく、彼女の姿を目撃した叔母が、ショックのあまり葬儀中に倒れてしまいました。「あなたのせいだわ!」となじる従妹ペイジ。

 

 

突き刺さるような遠巻きからの視線。故郷に帰ることすら許されないのは明白。

 

 

ところが、倒れた叔母が、意識を取り戻し、思いもよらぬ提案を持ち掛けます。
私の牧場の立て直しをしてくれない?

 

 

善良で優しい叔母は、ウィラが故郷を離れていった過去を深く悲しんでおり、戻ってきてほしいと思っていました。

 

 

「ああ、あなたが街を出ていくのを、どうして強く反対できなかったのかしら」

 

 

自分を思う叔母の想いが痛いほど感じられ、断って叔母の病状を悪化させるのは忍びないと感じるヒロイン。

 

 

迷いに迷い、しばらくの間だけと約束し町に残ることにしました。ここから、孤立無援での牧場の立て直しが始まります。誰一人彼女を助ける人はいません

 

 

街では買い物一つスムーズにできず、品物を注文したくて店頭に出向いても店員に無視されます。牧場の雇われ人は、給料泥棒も同然ですし、従妹のペイジは牧場仕事を手伝うなんて、とんでもない。

 

へとへとになりながらも、一生懸命に頑張る姿に心が打たれます。もうだめ、もう無理、と思いながらも、その日一日だけと思い頑張る彼女。そんな懸命な姿をみているのは、亡き親友アンジーの兄のクレイ。

 

妹を死なせた憎い奴。

 

早く町を出ていけとばかりに、冷たい視線で彼女をにらみつけていますが、一方でウィラの頑張る姿も見ています。

 

 

妹を死なせてしまった後悔と深い悲しみは、彼女も同じなのだ、と考えはじめます。
アンジーの埋葬されている墓地で泣き崩れ、そして夜はアンジーの名前を呼びうなされてる。

 

そんな痛々しい姿を見るたび、クレイは憎しみを奮い立たせようとするものの上手くいかなくなっていました。

 

この物語のポイントはヒロインが親友殺しの汚名を背負っている部分。どんなにクレイが許したといっても、わだかまりが残ります。

 

 

かつて恋心を抱いていたクレイとの和解に、喜びと悲しみが錯綜するするウィラ。
真実をつたえるには、遅すぎる。

 

 

自分を信じてもらえない絶望感と、わたしじゃないと声を大にして伝えたい強い気持ち。そうできない、きらめきったヒロインの声にならない言葉が心に響きます。

 

 

従妹ペイジの策略に、再び周囲が騙されてしまうのか。切ないという言葉で表すには、悲しすぎるロマンスストーリーです。

キャスリーン・E・ウッディウィス『川面に揺れる花』を読んだ感想

キャスリーン・E・ウッディウィス『川面に揺れる花』を読んだ感想

造船技師ゲイジと彼の使用人で元女囚シメインのロマンス。

 

 

 

垢にまみれ、ぼろきれ同然の服をまとった女囚シメインの正体は、豪商の娘。
何不自由なく暮らしていたシメインですが、あらぬ罪で逮捕され奴隷の身に落ちぶれてしまいました。
 

 

 
冤罪を証明してもらおうにも、彼女の身内は誰もシメインを見つけだすことができない。
絶望の淵で出会ったのは、造船技師ゲイジ。なけなしの金をはたいてシメインを買い上げ、それはそれは大切に扱います。

 

 

 

本作品のアメリカでの刊行は1997年。作者の晩年の作品なのか、雰囲気は全体としてまったりとしており、登場人物の人柄も落ち着いた印象をうける作品です。
ですが、そこはヒストリカルロマンスのファーストレディ。キャスリーン・E・ウッディウィスの作品ですから!!ロマンスでのトキメキ要素は満載ですのでご安心を。

 

 

 

なけなしの金をはたいてもシメインを手に入れたいヒーローの恋心

 

 

 
時代は1947年アメリカのヴァージニア州。
北風がにわかに強まるニューポートニューズに囚人たちを乗せた船が一隻到着。
そこには冤罪で囚われた元女囚シメインがいました。
 

 

 

イギリスからアメリカまでの長い航海で、風呂に入れず、垢にまみれ、着ている服はボロきれ同然。
もう、そりゃ、見るも無残な状態。
航海の途中でも、いろんな人に、イジメたおされます。
まず、彼女の美しさを妬む女囚。と、その愛人。シメインの美しさにフヌケになってしまった船長の妻。
なんだかんだで、シメインに因縁つけて、監禁したり食事を与えなかったりと、ひどいイジメようです。
 

 

 

やっとのことでアメリカについた彼女を待ち受けていたのは、囚人のセリ。
結局、イギリスで罪を犯した囚人を買い上げ、植民地のアメリカに届け売る。そのピンハネ分が船長の懐にはいるといった寸法です。
ところが、この船長。シメインを愛人にしようと目論んでいるので、なんだかんだいって、売りに出しません。
 

 

 

そこで登場するのがバツイチ子持ちの造船技師ゲイジです。妻は事故死、ようやく片言が話せるくらいに大きくなった息子アンドリューをシングルで育てています。
 

 

 

息子の子守をお願いしている女性が、ゲイジにオネツをあげていて、その入れ込み具合は、身の危険を感じる程。
彼女では、おいおい問題がおきるだろう、と、別の子守を探しに奴隷の買付にきたわけです。

 

 

 
あんまり期待してなかったゲイジですが、ところがどっこい。
もう、シメインみつけて一目ぼれですよ。
 

 

 
自分の留守中に大切な息子を預けるのですから、子守とはいえ、読み書きがある程度できてもらわないと、となかなか厳しい条件をもって
奴隷の買付にきたのですが、期待を大きく上回る人が!!(笑)
 

 

 

ここがですね、非常に胸キュンなんですよ。
ゲイジは富豪でも豪商でもなく、この時点では一介の技師なので、はらえるお金には上限があります。
しかも相手は売り渋りの船長ときてます。でも、どうしても、どうしてもシメインを手に入れたいと決めて、財布やこれからの生活がカツカツになること承知で、うまく立ち回って彼女を手に入れる。
 

 

 

下働きなんかしたことないシメインが、慣れない仕事に率先して取り組み、なんとかゲイジに役に立とうと、健気に頑張るのは、この辺りの下りを、シメインもよく承知しているからです。
 

 

 
金の湯水のように使う生活をしていた贅沢に慣れ親しんだシメインですが、地獄のような航海を経て、末は愛人か売春宿に売られるかのところを、救ってくれたゲイジにもう身も心も(あ、労働という意味で)捧げっぱなし!
 

 

 

ないない。ゲイジが殺人者だなんて(笑)

この作品のヒーローとヒロインともに、人間ができてるなーというのが率直な感想。
キャスリーン・E・ウッディウィスの他の作品「シャナ」のヒロインシャナなんて性格、致命的ですよね(笑)
 

 

 

ですので、文庫版の帯に書かれている「あなたの正体は殺人者なの?」は、もう序盤から「ナイナイ」って感じで、そこはミステリアスでもなんでもありません。「冬のバラ」みたいにサスペンスタッチでもないので、ご承知おきを。
 

 

 

ゲイジがシメインと結婚するのも比較的スムーズなのですが、結婚したからといって彼らのアツアツは収まりません。

 

 

 
シメインのドレスからちょっと胸が見えると、目を疑うゲイジの発言。

「うまそうなメロンがふたつ。夜まで待ちきれないぞ」

 

 

 
め、めろんっすか。軽く夫婦間のセクハラ(笑)
 

 

 

終盤、彼女が何故、冤罪になった理由が明らかになってきます。そして彼女の両親、イギリスでのシメインの元婚約者が登場して、二人の結婚生活を大反対。
メロンとかいってる場合じゃなくなってきてますが、それでも、シメインは始終ゲイジと一緒に居られて幸せそう。可愛い彼女の幸せな様子をみてあげてください。