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ロマンス手帖

ハーレクインロマンスなどの海外のロマンス小説の感想ブログ。あらすじの紹介です。多少のネタバレあり。

マリアンヌ・スティリングス『ミステリーはお好き?』を読んだ感想

マリアンヌ・スティリングス『ミステリーはお好き?』を読んだ感想

地方新聞の編集者ベッツィーと刑事と小説家の兼業してるソルジャーのロマンス。

 

ベストセラー作家のソルジャーの元に毎回とある新聞が届きます。そこには、彼の作品が批評されてるのですが、これがひどいこき下ろし方。

 

 

「くず、ゴミ、カス、廃棄物。手に取る価値無し!」

 

ソルジャーは、この書評を書く女なんて、年増で不細工ババァに違いないと、弟と二人、ババァの似顔絵を描いて、憂さを晴らしていました。(性格わるいな~)

 

この年増女(予想)と偶然にも、とあるセミナーで鉢合わせ。

 

 

なんと!うら若き美しい女性ではないか!しかもソルジャーの好みときた。

これは、面白いことになったと、好奇心が刺激されたソルジャーですが、お相手のベッツィーは、とある問題を抱えていて、ソルジャーの相手どころではありません。

 

長年の刑事の勘で、不細工ババァもとい可愛いベッツィーの問題を解決しようと頑張るのですが・・・・

 

小説家と編集者らしい、ウィットにきいたやり取りと、ちょっとセクシーな展開で、サスペンス要素少な目です。軽いノリで楽しめる作品ですよ。

 

金甌無欠のヒーローって、なんだそれ?

 

ベッツィーは、地方新聞の編集者。ちょっとした書評も書いたりしています。アメリカ北西部犯罪小説セミナー(?)なるセミナーに参加したところ、先日こき下ろした書評のお相手が参加してるのではありませんか??

 

 

あんな、つまんない小説書いてる奴なんて、不細工で見苦しい中年オヤジだと思ってたのに、実際のソルジャーは超セクシー。ああ、あんなこと書いちゃって、恥ずかしい・・

 

もう、二人して犯罪小説セミナーそっちのけで、一目ぼれしちゃってるので、心の中で、お相手を大絶賛。祭りだ、祭りだ(笑)

 

 

セミナーは数日開催されるのですが、セミナー途中でベッツィーが、深刻な問題を抱えてるのを知り、ソルジャーがぜん保護欲ムンムンになります。

 

ベッツィーはストーカーに悩まされていたのです。彼女の犬が、冷蔵庫の中に入れられていたり、不気味なメッセージを受けとったり、とセミナー開催中でも気は休まりません。

 

いったい彼女は何をしてしまったのか。

 

恐ろしさのあまりガクブルのベッツィーですが、まんざら知らぬ仲でもない(酷評したけど)ソルジャーがそばにいてくれて、ちょっと心強くもあります。あんな酷評しちゃってごめんなさい、なーんて、しおらしいセリフをいうような女性でもなく(笑)、ソルジャーの副業の小説に対しては相変わらず辛口です。

 

だいたい金甌無欠ってなんなのさ。(※物事が完全で欠点がないたとえ)

完璧って、言えばいいじゃん。わかりにくいよ、とベッツィーが相変わらず、酷評。

 

それに対して、うまーく、子供をあやすように、言葉を交わすソルジャーは、なかなかユーモアのセンスがある男性です。

 

で、超素敵かっていうと、個人的には微妙なところ。

ベッツィーが、彼のことを物事が金甌無欠な体形で、セクシーで、男らしくて、云々、といってますが、ベッツィーがそう思ってるってことは伝わりましたが、私は特にそう感じず。

 

例えば、男らしいといえば、クルーザーでバカンス中、解放感を味わいたくて真っ裸になっちゃったりするあの人とか、欲望がたかまって自分を抑えるためにレンガをくだいちゃたりするようなあの人とかは、「さっすが、男らしいね。ちがうね」(あ、ひょっとして単なる変わった人?)と感じますが、今回のヒーローに関しては、そう感じませんでした。普通に素敵な人なのかな。

 

 

言葉遊び的なやりとも、いかにも文章を生業としてる人たちって感じ。

軽いノリで、楽しめるロマンス。サスペンス要素は、ややありくらい?ですよ。

 

 

「金甌無欠」(きんおうむけつ)勉強になりました。

 

 

 

マーガレット・メイヨー『十二カ月だけの花嫁』を読んだ感想

マーガレット・メイヨー『十二カ月だけの花嫁』を読んだ感想

傲慢なギリシア人父に悩まされるヒロイン。
父親の自分勝手さに懲りているヒロインは、結婚の相手はギリシア人以外の男性と考えていました。イギリス人男性と結婚する予定が、なぜか父親と同じギリシア人富豪のテオと結婚をすることに・・・

珍しいギリシア人同志カップルの作品です。

 

 

序盤のあらすじを簡単にまとめました

ディオーネは、突然、父親が倒れた連絡を受けました。
父親に、恋人のクリスを紹介したいと常々思っていたディオーネ。
ギリシア人の父は、決してイギリス人のクリスを認めないだろう。
ひとまず、クリスをロンドンに残し、アテネの病院に向かいました。
アテネの病室で待っていたのは、ひときわ痩せてしまった父親。
健康だと思っていた父親が、心臓発作。
「私ももう若くはない」と言います。
病でよわった父ヤニスは「お願い事」をディオーネにします。会社の経営が思わしくなく、このままでは破産するしかない。だからテオ・トルサルディコスを尋ねて融資を申し込んでほしい。
ディオーネは具合が悪そうな、父親の頼みをことわれません。テオと父親の関係は良好とは、むしろ険悪。
どんな無理難題をふっかけてくるか、ディオーネは覚悟をしてテオに融資の申し入れのお願いに出向きました。
テオは、ディオーネの申し出を聞き、驚いた表情をうかべ、

「僕が頼りだって?なぜだ?誰よりも嫌っているだろう僕に、どうして金を工面してくれという?」

予想どうり、テオはすんなりと融資の申し入れを受けてはくれませんでした。
それでも、あきらめるわけにはいかないディオーネ。
嫌いだった時期もあったけれど、病院での父親の弱った姿を思うと目に涙が浮かびました。
そして、テオはある提案をします。

「条件を一つのんだら、救いの手を差し伸べてもいい」
「君が僕の妻になる、という条件だ」

 

 

感想です

ヒーロー視点で心情が描かれている場面が、序盤からありますので、安心して読めます。
ヒーローのテオ、嫌な奴かと思いきや、彼は最初からディオーネに一目ぼれ。結婚の申し出もヒロインを引き留めておきたいから。普通の食事にでも誘えばいいのに、なぜか一足飛びで結婚。

 

 
やり手実業家は、自分に有利になるようにことを運びますね!

 

 

 
アガペ・ムー。←覚えました

ストーリーにはどうでもいいのですが、ディオーネの父親やイギリス人婚約者のクリス、そしてテオの元妻。ヒールというには小粒すぎて残念。

 
まず、父親はディオーネが優しことを利用し、テオに金の無心をさせにいきます。テオはディオーネの父親のやり口を見抜いているので、彼女に同情的。

 

 
父親からしたら、棚ぼたのディオーネとテオの結婚に「やったね!やっぱ結婚はギリシア人同士だよね」の発想。

 

 
婚約者のクリスも小粒なクズ。

 

 

ディオーネの両親は、離婚しており、実父はアテネ、実母はロンドンで暮らしています。ディーオーネ不在にもかかわらず、クリスはご飯をごちそうになりにディオーネ実母の家へ通っていました(苦笑)

 
え?私がいないのに、来てたの?ディオーネも驚きです。
ディオーネ母

「また今日も昼食を食べに来るかしら?」
「実はね、あの人、ここへ越してきたいって言ってたの」

テオとディオーネが結婚したので、自分の家に出入りはしないでほしいと、ディオーネ母がクリスに告げると、逆ギレ。
「君が言わせているんだな?」
「今度はこの家から僕を締め出すつもりか」とディオーネを責めます。
昼食をごちそうになりに、通ってしまう図々しさもさることながら、ディオーネとの縁がきれても自分とディオーネ母との縁はきれないと思い込む都合のいい考え。

 
さらに元カノとこそこそ密会。こんな奴と結婚しなくてよかったよ。
テオの素敵さより、クリスの人間の小ささが印象に残って残念。

 

 

メアリ・バログ『秘密の真珠に』を読んだ感想

メアリ・バログ『秘密の真珠に』を読んだ感想

貧窮している貴族の娘フルールとリッジウェイ公爵のロマンス。

 
高潔な生き方を目指す二人。

 

 

許されない関係にもかかわらず、お互い想いが募ります。緻密で繊細な描写と、ストーリー出だしが衝撃的な作品。
全体に重苦しい雰囲気でストーリーが進みます。

 
ひょっとしたら、全体的にハッピーロマンスがお好みの方は、設定NGかもしれないので、

ご注意を。

Amazon等で、あらすじ確認してくださいね。

 

代償が大きすぎる生きぬくためヒロインが下した苦渋の決断

 

 

貴族の娘 フルールは、ロンドンへ一人逃げてきました。
彼女には、故郷にいられない事情があったのです。

 
ロンドンで、手持ちのお金も底をつき、2日間食べ物を口にしていません。
将来に明るい希望も持てず、このまま餓死をするしかないのかしら。
彼女は、生きるために「ある決断」をします。

 

 
「ある決断」の実行で、顔に傷を負った紳士と知り合うのですが、二人の出会いは心地の良いものではありませんでした。

 

 
紳士はリッジウェイ公爵 アダム ・ケント。
イギリス国内でも有数の裕福な貴族でした。

 

 
リッジウェイ侯爵は、フルールの生活ぶりを見て、育ちのよい女性が苦労をしているのだな、と察します。

 
二人は、お互い詳しい正体を明かさず、別れました。
その後、リッジウェイ公爵より手にいれたお金で、数日は飢えをしのぎ、職業斡旋所に通うフルール。

 

 
ついに彼女に幸運が舞い込み、なんとかケント卿の娘の家庭教師の職を手に入れます。
これで、なんとか飢えずにすむ。

 

 
新しい仕事先に赴き、新天地で頑張るフルールに思わぬ再会がありました。
それは、ケント卿は、あの日 フルールを出会った顔に傷のある紳士「リッジウェイ公爵」だったのです。

 

 

心に重くのしかかかる厳かな愛の旋律

ライトでポップなノリとは一線を隠した愛の物語。
緻密で繊細な描写が、二人の心のひだまで描写していて、切なくなります。
ヒーロー ヒロイン ともに、高潔な生き方を望んでおり、自分を犠牲にし、義務を全うし名誉を重んじます。
対照的に、ヒロインを陥れようとする人物の下劣なこと。手段を選ばない。

公爵の弟の享楽的な生き方も、ヒーローとヒロインの生き方と対照的。

 

 

いっそう二人のプラトニックな関係(?)と、厳し過ぎるといっていいほどの自己犠牲が際立ちます。

 

 

 

高潔なカップル。相思相愛だからこそ結ばれてはいけない愛の葛藤

人生には、生きていく上で選択を迫られます。よきにつれ悪しきにつれ、自分の選択には責任が伴います。

自分の人生への責任です。
後悔しても、時計の針は巻き戻せません。

 

 

ヒロインは、かつて自分が下した決断に苦しみます。
自分に厳しいゆえに、「仕方ない」と頭では理解しても、心では自分を許せない。淫らで卑しい女だと、自分を責め否みます。そして、公爵に惹かれながらも、それすら許せない自分。

 

 
一方、公爵もフルールと出会い、愛なき結婚をした自分を悔やみはじめていました。名誉を重んじるがため、その時には一番良い選択をしたと自信を持っていました。しかし、周囲を見てみれば自分も含めて不幸な状況。

 
重く苦しい部分をわかちあい、許しあう。そんなフルールと公爵との関係。心の闇さえも愛することで、自分の心の壁を乗り越えられる。そう信じたい気持ちが終盤まで引きずりますが、単純にハッピーエンドとはいきません。

 

 

ああ、二人は本当にそれでいいの?お互いに好きだから、一緒にいるっていう選択ではダメなの?(ダメらしいです)
色々、考えさせられる一冊。切ない、愛の物語です。。