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デボラ・シモンズ『狼を愛した姫君 』ディ・バラ家の物語(1)を読んだ感想

デボラ・シモンズの有名シリーズディ・バラ家の物語の一作目。

ウェセックスの狼ことダンスタンと、記憶喪失のお姫様マリオンのロマンス。

 

 

マリオンを故郷へ送り届ける役目を父親から仰せつかったダンスタンですが、彼女の訴えに全く耳を貸さず、二人は大ピンチ。

 

 

ディ・バラ家の物語ってなに?と疑問に思った方に簡単に説明します

早くに母親をなくし、男ばかりで暮らしてきたディ・バラ兄弟。
屈強な騎士の6人が、「結婚」におびえおののきながらも、愛する伴侶をみつけるロマンスストーリーです。時代は中世、主にイングランドが舞台。一部ウェールズへも舞台が移ります。

 

 

1話、1ロマンス。6人兄弟+父親のキャンピオン伯の7つの物語で完結。

 

 

私のおすすめは、2作目「魔性の花嫁」です。

 

1作目と2作目はストーリーを持ち越している部分も多いので、順番に読む事をおすすめします。単独で読んでも面白い作品もありますよ。

序盤のあらすじを簡単にまとめました

ヒロイン マリオンは、記憶喪失。日常生活に不便はありませんが、自分に関する記憶がありません。旅の途中、誰かに襲われ、落馬したときに頭を強くうち記憶をなくしました。
つきそいの家来は殺されてしまい、自分は記憶もない。

 

 

危険な状況でしたが、通りがかりのディ・バラ家の次男サイモンと、三男ジェフリーに助けられ窮地を逃れました。
彼女の持ち物、身なり、しぐさなどから、どこかの姫にちがいない。
ディ・バラ家の家長、キャンピオン伯は、息子たちが助けたマリオンを、自らのキャンピオン城へ温かく迎えました。マリオンにとっては、初めて安心を覚える場所。
暖炉のそばで刺繍をしたり、女主人として城を取り仕切るなど、彼女なりに充実をしている日々。ディ・バラの兄弟たちからは、姉のように慕われ、記憶はないものの心安らかに過ごしていました。

 

 

ところが、ある日、一通の手紙がキャンピオン城に届きます。
行方不明になっているマリオンを探している家族がいるのでは?、と考えたキャンピオン伯。
宮廷に問い合わせをしたところ、マリオンの後見人が彼女を探しているらしい、と情報がはいります。
 

 
マリオンの後見人 叔父のピーズリーは彼女を早急 に引き取りたい、と申し出ました。
話はそこで終わりません。
 

 
ピーズリー自身は小さな土地の領主にすぎず、マリオンが相続した広大の領地と莫大な財産を狙っているらしい。
記憶がないにも関わらず、なぜか帰りたがらないマリオン。みすみすマリオンをピーズリーに渡してしまっていいものか。

 

 

「われわれには、マリオンに対して何の権利もないのだ。たとえマリオンがここにいたいと思っていても、おいておくことはできない」

 

キャンピオン伯は、息子たちに状況を話し、ある提案をします。

 

 

「おまえたちのうちで、マリオンを妻にする気のある者はいないか?」
部屋はしんと静まりかえった。

 

 

誰も名乗りをあげません。ディ・バラ兄弟はマリオンには好意を持っていても、自分が結婚に踏み切る程ではありませんでした。
お互いにマリオンを押し付け合う様子をみかね、キャンピオン伯は自分の息子たちを卑怯者だと感じます。
彼女を、ピーズリーに引き渡さなければいけない。誰が、彼女を故郷の城まで送り届けるか。マリオンに後ろめたい兄弟たちは、たまたまキャンピオン城に訪れていた長男ダンスタンに白羽の矢をたてます。
ダンスタンはキャンピオン城ではなく、自らの領地ウェセックスに居を構えており、たまたまキャンピオン城に居合わせたのです。

 

 

「ダンスタンのほうがわたしよりずっと腕がたつ」
「たしかにダンスタンは旅には慣れている」
「ダンスタンはまだマリオンをよく知らないから、よけいにちょうどいいい」

 

マリオンを叔父の元へ届ける役目を、押し付けられたダンスタン。さほど面識もないので、他の兄弟ほど罪悪感もありません。さっさと送り届け、自分の領地に帰ろうと考えます。

 

 

「すぐ、その娘に別れの挨拶をするんだな。一時間もしたら出発するぞ。」

 

感想です

兄弟に嫌な役目をおしつけられたダンスタン。責任感が強く、兄弟の仲ではひときわ腕の立つ騎士。器のでかさといったら、兄弟で一番です。
ただ、融通がきかず頑固なのがたまに傷。
マリオンに同情をする兄弟たちを尻目に、さっさと彼女を送り届け自分の領地にかえることばかり考えていました。彼女は、故郷に近づくにつれ不安がつのり、ダンスタンに不安な気持ちを伝えます。記憶がないけれど、心の底から感じる恐怖。

 

 

命さえたすかれば!とマリオンは何度もダンスタンから逃走をはかります。

 

 

一方、ダンスタンは、男らしいのか、鈍感なのか紙一重といったところで、マリオンの微妙な気持ちを理解できないので、脱走を繰り返すマリオンに手をやきます。逃げ出したら逆に危ないっつーのと思っています。

 

 

彼女の不安を一蹴し、二人の旅は進むのですが・・・マリオンの言葉を信じなかったばっかりに旅の一行は大ピンチ。

 

 

ちょっとぽっちゃり気立ての良いマリオンと、豪胆な騎士ダンスタン。
命からがら窮地を逃れる二人の置かれた状況は、厳しいものでしたが、惹かれあっているのは一目瞭然。
「愛なんて」と馬鹿にするダンスタンは、あくまで彼女を守るために結婚をしよう!といいだすのですが、愛を信じるマリオンに、そんな理屈は通じません。

 
 

マリオンは彼の求婚を痛快にはねのけます。

 
 

愛を信じていないくせに(笑)、マリオンにメロメロなダンスタンも、ぜひ注目してあげてください!
ストーリー序盤でも、弟達と暮らしていたキャンピオン城で、ひょっとして兄弟たちと何かがあったのではないか、と妄想したり、どうして兄弟たちがマリオンと結婚をしなかったのか不思議がってみたり、と、愛は盲目。

 

 

自分の奥さんが、世界全員の男性から狙われてるとでもいいたげな、ちょっとした勘違い君です。
皆でハッピーエンド万歳で、終了かと思いきや、最後の最後で、国王から重要な命令が下されます。国王はウェセックスの隣の領地、フィッツヒューの娘とディ・バラの兄弟の誰かが結婚することを望んでいる。
長男ダンスタン以外の兄弟に激震が走ります。フィッツヒューの娘といえば、気の荒さで有名。結婚式当日、夫を殺したと噂のある女性。
ビビりまくりの兄弟たち。誰が、彼女と結婚するのか、もめにもめて次作へ続きます。

 

 

<次回の作品>
兄弟がもめにもめた結果、藁くじで決めた結婚は・・・
2作目 三男ジェフリーとフィッツフューの娘エレナのロマンス