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J・R ウォード『夜明けを待ちわびて』を読んだ感想

アメリカ金融界の寵児ショーンと心優しい看護師リジ―のロマンス。華やかな名声と莫大な金を手に入れたショーンには、誰にも告げていない過去が。

 

彼は、幼少期、父親に虐待をうけていたんです。

 

そんなショーンに、父親の訃報を知らせる一本の電話がはいります。

 

 

誰にも打ち明けられない父親への気持ちを抱える孤独なショーン。そんな彼の心をいやすことになるのは、父親の訃報の電話をいれた看護師リジ―です。

 

 

限りなく優しく、美しく、そして広い心でショーンを包みこむ、彼女のやさしさに震えるロマンス。

 

 

でも、なんといっても、見どころは10億ドルの資産がありながら、

 

デートは割り勘主義のヒーロー(笑)

 

割り勘なのにはワケがある。その理由を知れば知る程、じーんときますよ。

 

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前代未聞 割り勘ヒーロー

子供時代、ショーンと彼の兄弟は父親の暴力におびえ暮らす日々を過ごしていました。ものすごい猜疑心の持ち主なので、女性に対して、ブリザート並みの冷たい目線で、厳しくチェック。

 

彼が、結婚しない理由は、苦労して稼いだ金を持ち逃げされたくないから。金目当ての女はこりごりさ。その結果、割り勘ヒーローの出来上がり

 

 

一方、ヒロイン リジーは心優しきナース。もうびっくりする位、やさしい。借金癖があるとしか思えない母親への金の工面に奔走しながら、うらみがましい処は一切なし。

 

それだけでなく、ヒーローの父親とも関係も良好。彼の父親とは大家と店子の関係なんですが、病持ちの年老いた大家とリジ―は擬似親子の関係を築く程の親密ぶり。

 

でも、そんな優しいリジ―にたいしてもショーンは、超厳しい目線でチェック!!

 

あくまで善意で、リジ―は大家の死を、息子であるショーンに電話で伝えます。彼女は、看護師ですが、あくまで善意ですよ。善意。

 

相手が金融界の大物だとも知らず、お悔み申し上げ、ごくごく普通に接します。急いで駆け付けたショーンに対しては、彼がたくましいから、建設業のお仕事?もしくは肉体労働?の発想です(笑)

 

 

出会いから休息に二人は惹かれていきますが、リジ―の心の優しさがショーンは理解できません。全く、全然です。

 

 

  • 「金目当てで自分の父親に近づいていたのではないか?」
    「愛人関係に持ち込みたかったのではないか」
    「いやいや、ひょっとして自分がウォール街の大物だと知っていて、獲物として狙っているのではないか」

 

 

父親を亡くしたばかりの不安定な気持のショーンの心は複雑。悲しくもあり、ようやく終わった、という安心感もあり。そこは、暴力を振るわれていたとはいえ、入り混じる父親への複雑な想いがなんとも切なく。

 

父親の死への悲しみと、ヒーロー絶え間ない猜疑心。そして芽生え始めたヒロインへの愛情の間で、大きく彼の気持ちは揺れ動き始め、ストーリーは進みます。

 

 

ニシカワの一番のお気に入りのシーン

 

貧乏なフリをしてるショーンと、仕事があやういリジ―が公園で極貧デート。

 

偶然、公園で出会った男性たちとフリスビーをすることになったショーン。どうしてもリジ―にカッコいい所を見せたくて、頑張っちゃいます。

わざわざヒロインが見ている傍まで走ってきて、ワイルドなキャッチをしてみたり。2~3分おきに、チラチラとヒロインを確認しながら、ヒロインに手を振る姿に、こちらが胸がキュン。

 

ああ、やっぱり、なんだかんだいってもショーンはリジ―を好きなんだ、と安心する場面です。

 

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ちょっと涙ホロリの結末

彼も闇からようやく脱出!と、安心するのも束の間、ショーンは、自分が大金持ちと彼女に事実を伝えていません。

 

嘘をついている罪悪感からか、彼女と少しずつ距離をおきはじめます。
自分自身を幸せから遠ざけてしまう悲しい行動。

 

自分の正体をカミングアウトするも、リジ―への偏見が拭い去れず、繰り返されるショーンの誤解。

 

その都度、過ちをショーンから謝罪されるものの、理不尽な疑いをかけられ続けるリジ―の堪忍袋の緒が切れます。

 

金目当ての女はうんざりだ、と言いながらも、本当は自分を裏切らない女性を求めているのに・・・

 

ショーンの矛盾だらけの行動を、総て許し包み込むリジ―の言葉が奥深い。

 

「どうしていえる(許してくれる)んだい?」と尋ねるヒーローに
「たぶん・・・あなたのことが前より理解できるようになったから、許すことも楽になったんだと思う」
「誰だって、人生から善なるものを受け取る資格があるわ」

 

人を信頼し、愛を受け入れる。
ショーンに丁寧に伝える彼女のやさしさが、じんわり伝わり、頑ななショーンの心と一緒に、何かきれいなもので洗い流されるような感覚をうける一冊でした。