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スーザン・フォックス『黒い羊』を読んだ感想

育ての親だった叔父が亡くなり、葬儀に参列するため、ひっそりと故郷に戻ったウィラ。
交通事故で親友を死なせ、街を逃げるようにでてから5年。

 

 

「厄介者の羊」の烙印と、周囲からの誤解と”人殺し”の汚名。そして、死なせてしまった親友の兄クレイへの淡い恋心。

誤解とすれ違いに耐え忍ぶウィラに涙ホロリの作品です。

 

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『黒い羊』のあらすじと感想

 

 

舞台はアメリカ の牧場。かつて、親友を事故死させてしまった”汚名”を一身にうけたウィラが、叔父の葬儀に参列したシーンからスタートします。

 

 

ウィラ自身は、遠く離れた土地で馬専門の牧場経営者として生計を立てていました。
あの辛かった出来事を、故郷の街の人たちが許してくれてるのかも、と淡い期待をもちながら、叔父の葬儀に参列しますが、見事に希望は打ち砕かれます。

 

 

そればかりでなく、彼女の姿を目撃した叔母が、ショックのあまり葬儀中に倒れてしまいました。「あなたのせいだわ!」となじる従妹ペイジ。

 

 

突き刺さるような遠巻きからの視線。故郷に帰ることすら許されないのは明白。

 

 

ところが、倒れた叔母が、意識を取り戻し、思いもよらぬ提案を持ち掛けます。
私の牧場の立て直しをしてくれない?

 

 

善良で優しい叔母は、ウィラが故郷を離れていった過去を深く悲しんでおり、戻ってきてほしいと思っていました。

 

 

「ああ、あなたが街を出ていくのを、どうして強く反対できなかったのかしら」

 

 

自分を思う叔母の想いが痛いほど感じられ、断って叔母の病状を悪化させるのは忍びないと感じるヒロイン。

 

 

迷いに迷い、しばらくの間だけと約束し町に残ることにしました。ここから、孤立無援での牧場の立て直しが始まります。誰一人彼女を助ける人はいません

 

 

街では買い物一つスムーズにできず、品物を注文したくて店頭に出向いても店員に無視されます。牧場の雇われ人は、給料泥棒も同然ですし、従妹のペイジは牧場仕事を手伝うなんて、とんでもない。

 

へとへとになりながらも、一生懸命に頑張る姿に心が打たれます。もうだめ、もう無理、と思いながらも、その日一日だけと思い頑張る彼女。そんな懸命な姿をみているのは、亡き親友アンジーの兄のクレイ。

 

妹を死なせた憎い奴。

 

早く町を出ていけとばかりに、冷たい視線で彼女をにらみつけていますが、一方でウィラの頑張る姿も見ています。

 

 

妹を死なせてしまった後悔と深い悲しみは、彼女も同じなのだ、と考えはじめます。
アンジーの埋葬されている墓地で泣き崩れ、そして夜はアンジーの名前を呼びうなされてる。

 

そんな痛々しい姿を見るたび、クレイは憎しみを奮い立たせようとするものの上手くいかなくなっていました。

 

この物語のポイントはヒロインが親友殺しの汚名を背負っている部分。どんなにクレイが許したといっても、わだかまりが残ります。

 

 

かつて恋心を抱いていたクレイとの和解に、喜びと悲しみが錯綜するするウィラ。
真実をつたえるには、遅すぎる。

 

 

自分を信じてもらえない絶望感と、わたしじゃないと声を大にして伝えたい強い気持ち。そうできない、きらめきったヒロインの声にならない言葉が心に響きます。

 

 

従妹ペイジの策略に、再び周囲が騙されてしまうのか。切ないという言葉で表すには、悲しすぎるロマンスストーリーです。