人狼ライキーの王ラクレインと、戦乙女ヴァルキリーと吸血鬼ヴァンパイアのハーフ娘エマのロマンス。
シリアスになりがちなパラノーマルの世界を明るく軽快に描いた作品です。2007年度RITA賞受賞作の人気シリーズ。人間以外の生き物の世界<ローア>が舞台。吸血鬼、戦乙女、人狼、魔女など、ファンタジー好きなら、見逃せない設定です。
ヒーローの独占欲が半端なく、彼の口癖は「おれのもの」。軽いノリで、ホットなロマンスがお好きな方向けの作品です。
序盤のあらすじ
人間と<ローア>が共存している世界。パリの地中深くの墓所で、ライキーの王ラクレインは、地獄の業火に焼かれていました。
立ったまま鎖に繋がれ、炎に焼かれ続ける。ラクレインは不死の身体。彼の身体を、焼き続ける炎が消えることはありません。
ラクレインは、胸に怒りを培い、宿敵バンパイアへの復讐をつぶさに思い描き、屈辱に耐えていました。
永遠かと思われる拷問、ふとした瞬間に彼は気づきます。「伴侶」がこの頭上のどこかにいる。ライキーにとって「伴侶」は特別な存在。一千年もの間、ラクレインは自らの伴侶をまちつづけていました。
いま、この時を逃してしまったら、出会えないかもしれない。
彼は、身体をしばりつけている鎖と、自らの脚さえも引きちぎり、最後の力を振り「伴侶」の匂いを求めて脱出をしました。
一方、パリの夜。エマは、自らのルーツを探しにパリにきました。ヴァルキリーの叔母たちに大切に育てられ、外の世界に一人ででるのは初めての経験。父親がヴァンパイアで母親はヴァルキリー。
死んだ両親の情報を集めたい。
ところが、うまくいきません。
初めての土地で、友達もいないし、頼る人もいない。血も手配できない。
血が欲しい。のどが渇く。
叔母たちの反対を押し切ってパリにきたのに、何一つ成し遂げていない自分を情けなく感じます。そんなとき、不気味な男が近づいてくるのが見えました。男は黒いトレンチコートをはためかせ、エマにに向かってきます。
震える手でエマをさし怒鳴りました。「お前だ」
彼の青色の目には怒りともとれる光が見えます。エマは、身の危険を感じ、全力疾走で逃げ出しました。残念だけれど、もう叔母の元に帰るしかない。
その時、獣のような唸り声が響いたかとおもうと、あっという間に、ぬかるんだ地面にあおむけで押し倒されてしまいました。
「おれのようなものからは、逃げようとしないことだ」
「おまえは決して逃げられない。われらは嬉々として追うだけだ」
さっきの男が、エマに追いついていたのです。
エマとラクレインと運命の出会いでした。
感想です
ヴァルキリーとヴァンパイアのハーフのエマ。ライキー(人狼)の王、ラクレインは、待ちに待ち続けた「伴侶」を目の前にして唖然。
「え?お前?」の反応。
細くて、か弱いこの娘が自分の運命の相手だとは、とうてい信じられません。
信じられないわりには、強引にエマを連れまわします。ほぼ誘拐?
永く隔絶された場所で拷問されていたので、世の中にうまく適応できないラクレイン。自分を拷問にあわせたヴァンパイアの一味だと誤解をしているので、エマに辛くあたります。
徐々に、ラクレインはペースを取り戻しつつあるところから、甘い展開に。お約束です(笑)
お風呂で丁寧に彼女の身体をあますところなく洗ってあげたり、ご奉仕(?)しようと試みるなど、彼なりに「想い」(いや、欲求か?)を満たすため頑張ってます。
ヴァルキリーのエマの叔母たちや、ラクレインの一族のライキーも個性的です。
<ローア>の世界が、明るく、激しく、軽いノリで描かれています。ホットなシーンも充実してますし、好みにあえば、楽しめる一冊だと思いますよ。
人気シリーズなのですが、入手しにくいのが残念ですね。
残念ながら『満月の夜に 』は、中古流通でしか手に入らない本です。
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