ヒストリカル・ロマンスのファーストレディの呼び名に相応しいキャスリーン・E・ウッディウスの作品。昼ドラにしても申し分ない、典型的なザ・ロマンスです。

 

 

冷たい風が吹きすさぶ季節に萌えいずる真紅の薔薇。まさにヒロイン エリエンヌそのもの。

 

母親は死に別れ、賭博ぐるいの父親と、身体の不自由な弟と三人で、貧しい暮らしをしていますが、凛とした風格はまさに貴婦人。彼女の行動はおろかでもあり、そして気高くもあります。

 

上下二冊で発行されています。ちょっと長いので、序盤中だるみもありますが、エリエンヌの競売にかけられる場面から盛り上がりますので、ご安心を。

 

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『冬のバラ』のあらすじ感想&ちょっとネタバレ

ヒロイン エリエンヌは、美しさ故に様々な苦境に陥りますが、この娘、ちょっとやそっとじゃへこたれません。

 

 

彼女の父親は実に浅はかでね。借金のカタをつけるために、エリエンヌを金持ちの家へ嫁に出し、たっぷりお金をせしめる気満々

 

 

でも、エリエンヌ、なかなかやってくれます。父親の思う通りになんてなりません(笑)

 

 

父親が連れてくる紳士とは名ばかりの婚約者候補の男たちは舌なめずりしながら彼女の若さと美しさを堪能しようと手ぐすねひいています。、香り立つようなエリエンヌの身体だけが目当て!

 

 

ところが、「この不潔!!」(今風でいうと豚野郎的な?)と、エリエンヌは紳士たちをぴしゃり。暖炉でつかう鉄の棒をもって、悪い輩と応戦したり、理不尽だと思えば身の危険を顧みず、家を飛び出してしまいます(笑)

 

 

気骨があるというか、なんというか。ま~、この威勢のいいこと。結局、どんな候補を連れてきても、娘がはねつける。

 

 

唯一、交際を申し込み彼女の勝ち気さに負けないのがアメリカからやってきたヒーローです。クリストファーは金持ちでイケメンなんで、申し分ないんですが、エリエンヌの父親との因縁あり。

 

 

彼女の父親はいかさま賭博の常習犯。それを見破ったクリストファーに父親は知らぬ存ぜぬの一点張り。そのことが原因で、クリストファーとエリエンヌの弟と決闘するのですが、結果は弟の負け。そのときの怪我が原因で、弟は身体が不自由になってしまいます。

 

 

とういう、因縁の相手なので。エリエンヌ的には、父親の名誉を怪我した憎き弟のかたきなわけです。もちろんエリエンヌは、自分の父親が、いかさま賭博の常習犯だとは知りませんし、弟も父親を信じ切っています。

 

 

憎きクリストファー!!!(でもスキ)

 

 

クリストファーに対して、最初こそ敵意むき出しなのですが、実際会ってしまうと彼の男の魅力にまいってしまって、口ではいろいろをいいますが、エリエンヌの恋心はつのるばかり。

 

そうこうしてる内に、父親は「嫁としていらんかね?」と牛や馬のセリのようにエリエンヌを競売にかけることにします。酷い。。

 

 

その後、何度も、クリストファーは彼女に結婚を申し込みますが、ゲスい父親は「お前にだけは結婚を許さん」断固として認めません。エリエンヌ自身も、クリストファーをつっぱねます。

 

 

そんな彼女にひとこと「誇り高く、愚かだな」(たしかに)

 

ヒーローに助けをこうなら競売にかけられた方がいいという、彼女は実に愚かです。うそばっかりエリエンヌ。

後悔するなよ~(笑)

 

それでもエリエンヌは負けません。ただ、実の父親にそんな仕打ちをされて傷ついた心を隠し、最後まで気位たかくせり台にのっている彼女は実に哀れなんですがね。

 

で、ここから後半!ミステリーぽくなってきますよ。面白い。

 

彼女を競売でせりおとしたのは、火事で行方不明だったサクストン卿。足をひきずるように歩き、顔は火傷のため、黒い革の仮面で覆っています。ジェイソンみたい?日本的には犬神家のスケキヨさんかな?

 

 

とにかく、黒衣と仮面、手袋で覆われた彼は不気味そのもので、エリエンヌはサクストン卿の「妻」となることに震え上がってしまいます。

 

 

ところが、このサクストン卿。なかなかの紳士。

 

エリエンヌの心の準備が整うまで、実施的な結婚は待つよ、と言ってくれます。でも、彼が強くエリエンヌを求めているのは一目瞭然。

 

みかけだおしの紳士たちに、身体をなでくりまわされてきたエリエンヌは、彼の穏やかで誠実な態度に少しずつ心を惹かれていくのですが、ここで彼女の気持ちは揺れ動きます。

 

 

イケメンで、モテ男のクリストファーが、モーション。いいのか、不倫だぞ(笑)

 

 

姿形が醜くも、彼女を淑女のごとく扱ってくれる、真の紳士 サクストン卿か。
それとも、結婚してからも強く彼女を求めるクリストファーか。

 

 

いけないと思いながらも、二人の間で揺れ動くエリエンヌ。

 

 

そうこうしているうちに、サクストン卿がかつてあった火事について犯人捜しが進みます。屋敷や親族たちが火にまかれ、失ったあの悲劇。

 

そこにサクストン卿だけではなく、クリストファーも関係しているらしいとしりエリエンヌの気持ちは乱れに乱れます。

 

 

上巻はプラトニック。下巻は、サクストン卿と実質の夫婦になり、それでもクリストファーに惹かれる恋心が描かれ、やや濃密。

 

 

人によっては設定NGかもしれませんので、ご注意ください。

 

 

私は大いにもりあがりました。ああ、ネタバレになっちゃうので、これ以上かけないのが残念です。バレバレだと思いますが、やめておきます(笑)

 

中古本も時期によってはネットでは割高で取引されてることも。実店舗でブックオフとかで見つけたら「買い」ですよー。

 

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