元海軍提督チャールズとコンパニオン サリーのロマンス。
ただいま、サリーは失業中。
手元の現金も底をつき、途方にくれていましたが、<ドレイク亭>でなけなしのお金をつぎ込み一杯の紅茶を頼みます。
亡くなった夫の口癖「紅茶を飲みながら考えれば、たいていの問題はなんとかなる」
人生はそんな単純じゃない、想っていたサリーですが、この一杯の紅茶が、彼女を運命の出会いを導き、運命のお相手と出会っちゃうんですねー( *´艸`)
勿論、出会うのはヒーローでっす。
渋めの独身45歳@海軍元提督!! 最高齢か?!
と、ちょっと年齢たかめの二人ですが、カーラケリー独特の優しさと暖かさがじんわりくるストーリー。
そして癒されない心の傷に、ほんのちょっと悲しみとトキメキを感じるロマンス小説です。
カーラ・ケリー『拾われた1ペニーの花嫁』を読んだ感想
ヒロインのサリーは苦労の連続。
夫は無実の罪を着せられ、自殺。たった一人の息子は病死。お金はない、コネもなく頼る身内もいないという不幸ぶり。
でも、それでも生きていかないといけないので、なんとかコンパニオンして食いついないでたんですよね。
それも、仕事がいよいよあやういとなって、彼女はなけなしのお金をはたいて<ドレイク亭>で紅茶を飲むことに。
「紅茶のみゃなんとかなる」って、亡き夫の口癖だったんですね。そこで、じっくり今後の自分の身ふりかたを試案したんです。
が、面白いことに、そこで偶然に居合わせた紳士に見初められちゃうわけ( *´艸`)
その紳士の正体は、ヒーロー チャールズ。
彼は、というと、結婚を約束した女性とドレイク亭で待ち合わせ。結婚を約束したっつっても、愛し愛されという相手じゃなくってね。
彼の年の離れた姉たちに、半ばおしつけられたような形で、お相手をきめたわけです。
元海軍の提督だったチャールズは、バリバリやりてなんですが、なんだだかんだいっても、姉にはかなわず。
世話をやいてくる姉たちの攻撃をなんとか、これでやり過ごせないか・・・なんて、結婚自体に後ろ向きで、しぶしぶって感じなんですね。
ま、お相手も、イマイチさえない女性でして。チャールズも、心の中で、鼠嬢とかよんでるわけですよ。
が、そんなお相手に、ドレイク亭ですっぽかされ。肩透かし。
ってなところに、偶然居合わせた、サリーを見初めちゃうわけですわー。ふふ。どうせ、便宜結婚なら、かわゆいサリーがいいなーってことでしょうねー。
ここで面白いのはですね。チャールズって、めっちゃイケメンじゃないところ。
髪の毛はふさふさですが、片方の腕がなく、鉤を義手替わりにつかっています。見えるところではありませんが、歯が一本ないらしい(笑)いかめしい顔つきの、ちょっと渋めの独身45歳。
でも、自分で自分のこと「悪くないと思うんだけどな・・・」なんて、思ったりするあたり、イケメンだって思ってるのか(笑)ってつっこみたいんですが。
彼は、サリーを疑似結婚のお相手にヘッドハンティング。鼠嬢の代わりに自分と結婚してくれないか、と急すぎるプロポーズするわけです。
もう、お金もないし、行く当てもないサリーも事情を承知でチャールズと結婚!と、とんとん拍子なんですねー。
と、二人の出会いから出だしはスムーズなんですが、この疑似夫婦と出会う登場人物が何かしら悲しみを抱えてましてね。
なんだかしんみりするシーンが多いロマンスなんですよね。
不遇な少女を引き取り使用人にしたり。
差別的な態度をうける隣人を訪問したり。
孤独な紳士のお宅を訪問したり。
二人は擬似夫婦ながらも、周囲の人と、暖かな交流を深めていくのが、とっても心温まります。
サリーが「あの子かわいそう(´;ω;`)」といえば、男気溢れるチャールズが人肌脱ぐ・・・みたいな展開です。
- いい話→しんみり→ロマンス→胸キュン→いい話→しんみり→ロマンス
とういう、めっちゃいいサイクルで、楽しめますよ。
そんな二人のロマンスは、周囲の人を巻き込みつつひそかに進みます。
サリーは息子と夫が死んで、もうからっから。愛情のかけらもない。でも、あきらめていた愛を。この人となら・・・とチャールズに想いを寄せ始めるのがもうたまらん!!泣ける。
チャールズは、チャールズで、若かりし頃にできなかった恋愛や結婚生活を、「この人となら・・・」と思うんです。
少しずつ心が寄りそっていくストーリーに胸がキュンキュンですよ。
私は、せっかちな性格でしてね。
ものすごいスピードで本を読む癖があります。でも、この作品はちょっと違ってて。
ちょっとでも長く、この作品を読んでいたかった。
登場人物の人生の悲しみに触れて。ちょっぴり涙してみたり。チャールズとサリーの優しさに癒されるの繰り返しが、なんとも心地がいいんです。
後半、身も心も結ばれて、文句なしの二人を嫉妬する人間が一人・・・・後半の、パンチの聞く展開も面白いですし。
華やか~な雰囲気ではないですが、読ませるロマンス。読むと優しい気持ちになりたい方はチェックしてみてください。