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カーリン・タブキ『これが愛というのなら』を読んだ感想

お堅い警察官のフィル。

 

潜入捜査での新しい任務はストリップクラブにダンサーとして潜り込むこと。
過激な衣装を身にまとい別の人間キャットになりきります。

 

刺激的なテーマのスリリング・ロマンチックサスペンス。ホットなシーンも充実ですが、メインがストリップクラブなので、設定NGが厳しい方はご注意ください。

 

 

序盤のあらすじを簡単にまとめます

フィルはお堅い警察官。亡くなった父の後を追い、自分も警察官になりました。

 

 

内部調査課(警察内部の不正を暴く部署)で活躍後、潜入捜査課に配属になります。
そこで待ち受けていたのは、警部補のタイ。彼とは過去の因縁がありました。
かつて、内部調査課だった時、フィルはタイの不正疑惑を指摘し、やり合った過去があったのです。目的を果たすためなのなら、法律ギリギリやってのけるタイと、あくまで規律を重んじるフィル。

内部捜査課での過去を持ち出し、タイはフィルのことを「ねずみ」(密告者)と呼び軽蔑します。

 

 

どうせ、仲間をちくるんだろ?こんなやつとは仕事はしたくない。

フィルとタイは反目し合いますが、クラブに潜入する女性捜査官が必要なため、お互い仕事と割り切り、その場は治めます。

クラブでは、続けざまに何人かのダンサーが行方不明になっていました。フィルの前任だった女性捜査員も行方不明です。

 

 

 

殺されてしまったのか、それとも売り飛ばされてしまったのか。
何としてでも、犯人を突き止めねばならない。

 

 

 

タイと、同僚の捜査員たちは、すでにクラブのマネージャーや常連として出入りをしており、フィルにはカクテルウェイトレスとして潜入する予定でした。

 

 

胸が大きく開いたホルダートップビキニと、ミニスカート。申し訳程度にしか布がない下着とピンヒール。酒とタバコと性の匂いが充満するフロア。ミラーボールの回る店内で、彼女は腰を振りながらカクテルを運び、新しい自分を感じるのでした。

 

感想です

ストーリーは、フィルの亡き父の事件と、ストリップクラブ失踪事件が大筋です。そこに、大きくロマンスが絡んできます。

 

フィルとタイは、最初から惹かれあっているからこそ反発しあいます。お互い容赦のない事この上なし。

 

表面的に、激しく軽蔑しながらも、お互いを求めあっています。本当の気持ちを隠すために、悪態をついたりしますが、口ではどういっても、フィルが他の男に見られるのが面白くないタイ。

 

 

フィルは男にだらしない女なんだ、と軽蔑することで自分の気持ちに無視を決め込むのですが、なかなかうまく割り切れない。

 

 

 

一方、フィルはというと、敬虔なキリスト教徒の父親の影響や、苦々しい過去の経験から、男性にはとっても消極的。それが、別人格になりきり、大胆なドレスや舞台でのふるまいに、新しい自分を感じます。

 

萎縮してる自分を解放する感じ?

 

 

連続殺人犯からフィルを守るタイですが、クラブで徐々に大胆になるフィルを目の前にし、自分の気持ちに嘘がつけなくなります。

 

 

一押しシーンは、終盤のタイの葛藤。
終盤、フィルに心を許しそうになる自分に気づいたタイは、猛スピードで逃げ出します。

 

 

自分は結婚もしない、子供もいらない。
相手と親密になりそうになったら、相手から逃げ出す。

それがタイのやり方。

それで、いい、と考えながらもフィルの悲しい顔を思い浮かべます。
色々な感情がいりまじり、気が変になりそうだと感じます。

 

 

「もしこれが愛だというのなら、そんなものとは一生関わりあいたくない」

 

 

でも、フィルの痛みを和らげられるのなら、天地さえ動かしたいと思う。
彼女のいない人生なんて、考えられない。愛を知らない男の苦しい胸のうち。
愛かどうかがわからない。
だって、愛を知らないから。

邦題のつけ方が、とっても素敵です。このフレーズからとったのですね。

 

サスペンスのストーリーも最後の最後まで引っ張りますので、楽しめますが、残念ながら骨太な感じはありません。あくまで、ロマンス8 サスペンス2くらい?かな。

「人の命が潜入捜査なのに、いちゃこらしているこの人達は、どうなのか?」

職業倫理を強く感じる方は、苛立ちを感じるかもしれませんね。

 

 

ネットで評価が分かれるのは、このあたりが原因でしょうか。そのあたりはさらっと読み流せるなら、楽しめる作品です。

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