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リサ・クレイパス『同居生活』を読んだ感想

未亡人ヒロイン ホリーと、元闘拳家の青年実業家ザックのヒストリカルラブロマンス。
貴族社会のしきたりやマナーを教える教師と生徒の関係が、いつのまにかロマンスに発展。たおやかな淑女と、粗野な成り上がりヒーローの奇妙な期限付きの同居生活が描かれています。

 

 

甘いストーリーの中にも、貴族社会で、自立しようとするヒロインの思慮深さと強さがにじみ出ている作品。

 

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成り上がりヒーローは貞淑な未亡人ヒロインに一目ぼれ

舞台は19世紀ロンドン。ヒロイン ホリーは、3年前に夫をなくし、つつましく暮らしていました。
ある日、喪が明けてから初めて出席した舞踏会。
疲れ切ったヒロインは、ひとりきりになれる暗い応接室に入り込みます。

 

 

その時、突然現れた背の高い男からキスをされます。どうやら、ここで恋人と待ち合わせをしていた男性が、お相手を間違えてキスをしてきたのです。
その男性こそ ヒーロー ザック。
人違いだとわかっても、ザックはホリーを抱きしめる手をゆるめません。ホリーは見知らぬ男性から熱烈にキスをされ驚きましたが、戸惑いながらも何故か相手のキスに応じてしまいました。
キスの後、ホリーはザックの名前を聞くこともなく去っていきます。
「あの女性はだれなんだ」

 

 

舞踏会に戻ったザックは、自分の連れから彼女の名前を聞き出します。
三年前に夫を亡くした未亡人、元夫は由緒正しい家柄で、どうやら自分とは似ても似つかないタイプらしい。
「あなたにお似合いのお相手が舞踏会では他にいるでしょう」とそれとなく、連れに釘をさされますが、ザックはホリーにロックオン

 

 

 

なんとかヒロインに近づきたいヒーローの策略

ある日、ホリーの元にお茶会のお誘いの手紙が届きます。差出人は面識のない実業家でした。招待を受け、屋敷に出向いてみると、そこには舞踏会でキスした男性ザックがいました。

 

 

そして、ザックは「礼儀作法」を教えてほしい(しかも住み込み!)とホリーに申し出ます

 

 

 

 

ホリーは、義弟に娘と二人世話なっていました。ザックからの提案や金銭の申し出は申し分ない。けれど、ホリーは迷います。

 

 

未亡人のホリーが、貴族社会で(裏では)認められていない、独身男性のザックの屋敷に住み込むのはいかがなものだろう。

  • 世間の目には、どう映るだろうか。
  • 幼い娘にしてやれることはあるのだろうか。
  • このまま、一生 義弟に養ってもらうのか。

 

 

ホリーは、申し出を受け、自立の道を選択します。こうして、ホリーは彼の屋敷で、彼と彼の家族と奇妙な同居生活をおくることになりました。

 

 

ワイルド系ヒーローのキャラクターが新鮮

話の見どころは、ヒーローのキャラクターです。
貧しい出自からのしあがり実業家で財を成す「のしあがりヒーロー」は、リサクレイパスのテンプレの1つですが、今回はなかなかのツワモノ。

 

ストレートにものをいい、そしてストレートに行動。そんな直球のザック。剛速球ですよ。ホリーにちょっとセクハラめいた言動がおおいので、心の準備を。

 

 

既存のやり方をものともしない、強引でストレートなザックは貴族社会からつまはじきにされ、本当の所は彼自身、苦悩をしています。だからこそ、礼儀作法のアイディアを思いつきホリーにきてもらったのですが、きっと彼自身が時代の先取りをしすぎていたのですね。

 

 

 

亡き夫とヒーローの間で揺れ動くヒロインの気持ち

段々と、ザックとの仲が深まり、彼の粗野な言動にも慣れてきたころ、ホリーは彼の本当の姿を垣間見ます。

 

彼が粗野に見えるのは、見かけだけ。ザックの誠実で飾らない人柄に気が付くホリーに思慮深さを感じます。

 

 

礼儀正しいけれど自分の意思を曲げない元夫と、言葉づかいは乱暴だけれどホリーに歩み寄りをみせてくれるザック。

貞節な未亡人ホリーの揺れ動く気持ちがちょっと切ない。

 

特筆すべき悪役もでてこず、刺激的なエピソードもありませんが、しいていえば貴族社会のしきたりと世間の冷たい目。
温かく見守りたい二人です。本物の成り上がりヒーロー万歳!の一冊でした。

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