歴史学者のカーターと実業家ニックのロマンス。
執筆の方向性を決定づけた作者J・R・ウォードのデビューから2作目の作品です。
初期の作品ですが心の闇を抱えたヒーローの苦悩の片鱗が垣間見られます。
ヒロインが歴史学者の設定なので、アメリカの歴史の知識が広がるのも面白い一冊です。
今回のヒーローは、なかなかしたたかな策略家
舞台はニューヨーク州。
ヒロイン カーターはアメリカ史を専門の歴史考古学者。
ある日、友人から重大な連絡を受けました。
独立戦争時、独立軍の戦闘資金にするための「金」が行方不明になっており、その手掛かりが、見つかったらしいのです。カーターは、金」がうまっているとされる土地の所有者に、発掘作業をさせてほしいと説得に出向きました。
その発掘地「ファレル・マウンテン」の所有者こそ、今回のヒーロー ニック。
ニック側は、自分の所有地の発掘許可を求めてくる人たちを、うっとおしく思っており、カーターも追い返すつもりでした。やり手ニックは、彼女の姓から、裕福な父親の名前を連想します。
娘に貸しをつくってやろう。
さらに噂どうりにカーター親子が不仲なら、父親と娘の仲をとりもってやれば、父親に恩をうってやれるだろう。
男性不信ヒロイン VS やり手ビジネスマンヒーロー(実は人間不信)
心によからぬ思惑があるやり手ビジネスマンのヒーローと、美しくしなやかな姿のヒロインはお互いに惹かれていくのですが、すんなりいくはずもありません。
カーターは自立こそしていますが、裕福な家の出身でした。母親の死がきっかけで、不倫をしていた父親と絶縁状態。男性に根深い不信感を抱いています。
それは、ヒーロー側も同じ。うまく人間関係を築けません。
二人はほどなく惹かれあい、心の傷をかかえたまま、湖に漂うヨットの中で親密な時間を過ごします。
とってもいい雰囲気なはずなのに、何故か心がざわついて、ニックは意味もなく彼女に暴言。
本当にびっくりですよ。今暴言はくの?(笑)
あまりに唐突すぎて、私もヒロインもびっくり。
親密さを恐れるヒーローの自己防衛が、なんども痛々しい展開です。
似た者同士カップルでとってもお似合い
作中通じての、エピソードは、お互いの嫉妬が原因の(擬似)三角関係にやきもき忙しいく、ヒーローの暴言とヒロインのヒステリーで、終盤は大炎上。
結局、ニックとカーターは似た者同士。私の感想としては、今回は二人は喧嘩両成敗といったところ。
お二人にはお幸せになっていただきたい。
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